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紗幕越しの川柳
河野潤々
2024年7月22日
#Scene 3
点滅はエボルタ田村はタコス味
澤野 優美子
一見なにやら楽しそうな作品である。
『点滅(し始めたの)は(カラータイマー)、エボルタ田村はタコス味』と
解し、昔の古舘伊知郎さんのプロレス実況風にすると
「おや、カラータイマーが点滅し始めたのでしょうか?」
「エボルタ田村(レスラー名)の様子がおかしいぞ」
「明らかに電池が切れている。どうしたエボルタ!」
「普段は野性味あふれるエボルタですが、今は増えた乳酸に苦慮しているのか」
「酸化して、エボルタ田村はタコス味に変わってしまったのか~!」
的外れな意訳は置いておくが、
作中の主人公は、何らかの原因でエネルギーが切れかかっているのだろう。
そしていつもは美味しくいただく『肉の割烹田村』の品々が
このときばかりはタコス味のように感じられたのではないだろうか。
言葉一つひとつの歯切れのよさや、畳みかけるta音の連なりに
楽しさを感じる一方、あえて明るく振舞おうとしているようにも思え
その分、心身の疲労が影を濃く落としているようにも感じてしまう。
作中の主人公の電池切れには、キレと苦みのあるクラフトビールのエールが効くと思うのだが
さて。
(水脈 第66号 編集発行人 浪越靖政 2024年4月)
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