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​紗幕越しの川柳

河野潤々

2025年4月8日

#Scene 19

紗幕越しの川柳フォト
覗き窓釈迦もイエスも通り過ぎ

 

椎 太  

 


「現代川柳」とはなんぞや。

それを摸索していた頃に出会った作品。

 

独居房の小窓から覗く外の世界を

何事もなかったように釈迦が

そしてイエスまでもが通り過ぎてゆく。

 

ドラマ性豊かな表現に込められているのは

救いようのない絶望。

誰からも救いの手が差し伸べられることはなく

ましてや釈迦やイエスが気にしてくれるそぶりもない。

 

このひとに与えられているのは寒さ、孤独。

そして出口の見えない閉塞感。

 

断崖絶壁に立ち、そこから一歩を踏み出して

すべてを終わらせるのか

引き返して絶望の暗闇を

ただひとりさまよい歩くのか。

 

釈迦もイエスもただ冷酷に

その行方を俯瞰している。

 

 

(2016年8月WEB句会 現代川柳かもめ舎・川瀬晶子の川柳ブログ より)

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