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​川柳で踊らせて

​アンジェリカ会員&藤田めぐみ

2025年12月2日

#Act 34

花街の花の湿り気 秋深む


笹田かなえ

花街の灯りは、冷えた夜気に濡れながら

ゆっくりと艶の陰りをまとっていく。

すれ違う影の歩幅にも

静かな色気がにじんでいた。


軒先の花に触れると、指先に柔らかい湿りが残る。

その水気の奥には

誰かの囁きや、ほどけた情の残り香が潜んでいる。


秋が深まるたび

この街はひそやかに体温を上げていく

香りも色も、触れ合う距離の近ささえも

少しずつ重みと艶を増してゆく。


夜の深みに溶けていく湿り気は

今日も誰かの袖口へ、そっと移っていくのだろう。



Text/produced by FUJITA Megumi


川柳アンジェリカロゴ
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