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​川柳で踊らせて

​アンジェリカ会員&藤田めぐみ

2025年3月2日

#Act 17

どこからがサラダでどこが真実で


伊藤良彦


ややこしい話になりそうな時に

食事をするのも、良し悪し。


重い空気を逃がしてくれるようでもあるし

逆に

味がしないばかりか

話も集中できずに混乱して

「こんな時に、何のん気にごはんなんか食べてんの?」と

自分に突っ込みたくなる時もある。


無国籍料理にしようと言ったのは君。

え、こんな時に無国籍料理って と思ったのは私。

もうそこから、ずれている。

ずっと目を逸らしていたけど

きっと前からそうだったのだ。


初めての店の、おすすめコース。

メニューを見ると、カオスすぎて

どんな料理かわからない名前が並ぶ。


ねえ、これってどこからサラダなの?


そう聞きたくて君を見ても

君はお酒を選ぶのに夢中で

私の問いかけには生返事。


今日の話も、きっとそう

わかるようでいて、わからないメニューのように

いくら聞いても、要領を得ないのだろう。

話の中に、君が周到に脚色したエピソードが

いい具合に混じるのだろう。


たぶんそれは

相対的に嘘ではないが

私にとって、真実ではない話。



Text/produced by FUJITA Megumi

川柳アンジェリカロゴ
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