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2025年4月1日
2025年4月

たっぷりの黙は希望をつくるとき
潰されたポテト矢鱈のわらいあい
ラ行からひらくくちびるスイトピー
斉尾くにこ
名残雪 お清め塩という儀式
カシミヤのマフラーねこがいてくれる
草餅の凹みくらいを拘って
笹田かなえ
手遅れのブーケ今ごろ燃えている
狂気には位置エネルギー持たせない
草いきれ自分の爪を取り戻す
鈴木雀
萌え袖に隠す反撃のトリセツ
聞かせてよなが〜い廊下の話の続き
憧れは角田光代と飲むビール
須藤しんのすけ
まぶしまぶし猜疑猜疑にサングラス
アップアップやさしすぎよギブアップ
天が破れたつくろい糸は肝の色
旅男
シャボン玉あれはたましい割るなかれ
「ひとりが好き」桜の嘘を聞いた風
真っ当に脱皮続ける地平線
西山奈津実
ゆうれいも春がすきだからピースする
あたらしい花器に木洩れ日を汲みにゆく
春風にまみれてアラザン光りだす
温水ふみ
レアチーズケーキ 横顔もわたし
花びらは涙のための洋食器
夢十夜 フォークは握りしめたまま
飛和
助手席のシートが2ミリずれている
淋しさも薄いドリンク無料券
くちびるの色番号を当ててから
藤田めぐみ
クチビルに触れると開いた自動ドア
ソプラノのアイシテイマスからの刑
余所行きのパンツのシワのはにかみ屋
間瀬田紋章
両手からこぼれないよう朝の春
フラットがカミングスーンと目配せる
菜の花のビタミン色を茹で上げる
峯島妙
信じよう 1たす1は2のはずだ
言い訳はしない出来ない イノセンス
期末日が迫ると僕は石になる
伊藤良彦
一瞬の君 放課後の喧騒に
ラムネ玉欲しくて呟いた呪文
アンダンテ明日に続く処方箋
菊池京
リソースを包んで溶けぬオブラート
武装してみぞおおちを降りる重役
何人かいるだけダルい堪忍な
河野潤々
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